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    2011

09.29

« モルガンの苦悩 »

俺はモルガン。チームワークを大切にする男だ。
ハンターズギルドに寄せられる狩猟依頼の多くには、様々な危険や困難が待ち受けている。俺たちハンターはそういったリスクと引換に報酬を得る生業ではあるが、その遂行は決して簡単なものではない。肉食竜の闊歩する密林。灼熱や極寒の砂漠。火竜の君臨する火山。ハンターたちはあらゆる状況に即応できる体勢を構えている必要がある。だから俺は何よりもパーティの“和”を尊重する。

だからこそパーティへの参加希望の第一声はミスすることが許されない。
今、少し離れたテーブルで談笑している彼らが雌火竜討伐へ向けて準備しているのを、俺は知っている。決して聞き耳を立てていたわけではないし、とっても誘って欲しそうに貧乏揺すりしていたわけでもない。そこは勘違いして欲しくない。

さて彼らの雌火竜狩猟に同行するためには、何がベストな挨拶であるのだろうか?
ここでは間違っても「チョリーッス☆」だとか、「こんです^^;」といった、礼節を欠く若者特有の言葉であってはならないはずだ。
いや、俺個人はこういった軽妙な言葉を必ずしも受け入れられないわけではない。少なくとも二十代前半のトレンドには通じているつもりだし、俺自身の心はいつだってヤングなつもりだ。
しかして今から互いに背中を預けようという者同士の、初仕事としてはふさわしいものでないことは間違いないし、その言葉を発した人間をあまりいい感情で迎えはしないだろう。いくら俺だってイラッ☆と来ちゃう、ガチで。

しかるにここでの正解はシンプルかつ無難であって間違いはないはずだ。
いや、俺の語彙力を疑うのはお門違いだ。俺は郷里では受ける者の珍しい語学の教育を学んで育った。「生麦生米生卵」とかもスラスラ言えるし、居座る客の退去を促す「ぶぶ漬けでもどうどす?」などという、ユクモ地方の言葉も知っている。

何よりも大事な事は仲間(となる者)を敬う心だ。つまり参加希望を伝える言葉に飾りはいらない。普通の言葉でいいのだ。「本日はお日柄も良く……」だとか、「お足の悪い中お越し頂きまして……」とか、そんな何気ない言葉でいいはずなのだ。
ヨシ、意は決した。えーと本日はお日柄も良きゅ……噛んでどうする!第一印象を伝える大事な挨拶なのだぞ!ここでの失敗は確実に俺の威厳の喪失とパーティ内のイニシアチブを奪われることを意味する。そんな時に噛みゅとは何事だ……ってエエイ!本番前に噛みまくりではないか!

パープ~

そう、俺はあの『パープ~』などという小気味悪いラッパの音が鳴る前には彼らに挨拶を終え、以心伝心の関係を結んでいなければならない。何故ならばあのラッパはハンターの出立を知らせる音だからだ。……ってアッ!待ち給え、そこの一団!俺の名前はモルガン、本日はお日柄も良きゅ!

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